美術家の足跡すべてを体現する

著作者:村上慧
出版社:夕書房
デザイン:佐々木暁
発行年:2017年

家をせおって歩いた

選者:髙松夕佳(夕書房・担当編集者)

 美術家・村上慧さんが発泡スチロール製の家を背負って歩きながら「移住を生活」した1年間の日記をまとめた本書。デザイナーの佐々木暁さんとの打ち合わせで、「本文は村上さんの頭の中だから、装幀は『家』の素材をモチーフにしよう」と方向性が決まりました。実際の村上さんの「家」を縁取る黒い輪郭線を、佐々木さんが描画で再現。カバー表(屋根から壁)・カバー裏(窓)・表紙(表札)・見返し(屋根/窓)のすべてで「家」を体現しています。カバーと表紙に使うのは「家」の質感に似た用紙、歩くリズムを感じる3段組み、ずっしりと重い重量感など、15キロもの家を背負い続けた村上さんの1年間へのリスペクトにあふれた造本です。

※内容・肩書きは、執筆当時

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