「文庫X」の書店員が今度は脱がせた!! 読者に委ねられた『解釈』が、表紙絵でさらに深まる!

著作者:東野圭吾
出版社:文藝春秋
デザイン:石崎健太郎
発行年:1998年

秘密

選者:長江貴士(元さわや書店フェザン店)

 表紙絵が、物語そのものに影響を与えることは少ないだろう。大抵、物語が完成してから表紙絵が決まるからだ。しかし本書は、その常識を覆す。
 この表紙絵には、作中の重要なアイテムが描かれている。それが何なのかはここでは触れられないが、それを目にすると、物語を読み終わった読者の心はさらに大きく揺れ動くだろう。何故なら、「あり得る解釈」の中で最も哀しい可能性が、この絵から示唆されるからだ。
 登場人物たちの「秘密」が、まさにこの絵の中に秘されているのだ。

※内容・肩書きは、執筆当時

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