「赤色の違い」に眠る、作り手が共有した時間の物語

著作者:石橋毅史
出版社:晶文社
デザイン:寄藤文平+鈴木千佳子
発行年:2015年

口笛を吹きながら本を売る 柴田信、最終授業

選者:石橋毅史(作家)

 表紙カバーと本体で、違う赤が使われています。
 完成前のある日、編集の斉藤さんに連れられて寄藤文平さん、鈴木千佳子さんに会ったとき、どっちの赤にするか迷っています、多数決にしましょうか、となって、3氏は明るい赤を、僕だけが濃い赤を選んで、では明るい赤で、と決まりました。
 いざ出来上がると、カバーは明るいほう、本体は濃いほうになっていました。
 せーの、と4人で一斉に指さした場面がパッと浮かびました。共有した時間を物語として楽しむ姿勢、少数意見を掬い上げる柔軟性、寛大さ、などがいっぺんに伝わってきて、ハートのあったかい人たちに手がけてもらったな、と秘かに感激しました。
 カバーがあっても無くても、いい感じ。自慢の自著です。

※内容・肩書きは、執筆当時

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