祖父江デザイン、とてつもないです。

著作者:飯沢耕太郎 編/田中美穂 編
出版社:港の人
デザイン:祖父江慎+吉岡秀典(コズフィッシュ)
発行年:2010年/2013年

きのこ文学名作選/胞子文学名作選

選者:空犬太郎(ライター・編集者)

 

デザイナー祖父江慎が手がけた作品のなかには「ぶっこわれた」としか言いようのない過激な造本・装丁の作品がある。『伝染るんです。』(小学館、1990)などがその代表で、そうした作品群からは、印刷所か製本所で事故でも起きたのではないかと思わせるような、とてつもなさが全面ににじみ出ている。
 この二書はその祖父江慎氏の手になるもの(クレジットは「祖父江慎+吉岡秀典(コズフィッシュ)」)で、こちらの装丁・造本のぶっこわれ具合もすさまじい。二書いずれも、カバーをかけた状態でもそのただごとでなさが見てとれるのだが、カバーをとるとこれまたすごい。いくら、カバーに穴がうがたれていて、その一部が見えるとはいえ、ふつうならこんなところ(カバーで隠れる表紙)に使うことは考えられない、銀系の特色が使われた表紙が現れる。
 ちなみに、『胞子文学名作選』のほうは選者田中美穂氏のサイン本なのだが、サインする場所がないからといって、表紙の白い部分にサインをしていただいたのだった。

※内容・肩書きは、執筆当時

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